October 18, 2016
革新的進歩の世界観
先週に引き続き、今宵も会社帰りに母校の寄附講座（今回は by 連合駿台会）を拝聴して来ました。今回のテーマは『革新的進歩の世界観』で、講師は株式会社チュチュアンナの上田利昭 代表取締役。1968年に母校の法学部を卒業した大先輩です。お恥ずかしい話、チュチュアンナって会社を知らなかったのですが、JKを筆頭とした女子には有名な、人気ファッションメーカーだったのですね！今や日本、中国、香港、台湾で500店舗を誇り、カラータイツ、レギンズなどのレッグウェアや下着を中心に、年商280億で右肩上がりの会社なのです！
でも正直、そんな若い女性に人気のファッションメーカーのトップという感じは「全く」と言っていい程せず、いかにもその世代（御歳71歳）の明治の学生と思えるような牧歌的な感じで、実際、ゆっくりと淡々とした口調で、時々「どこまで話しましたっけ？」とボケ（呆け？）もカマしていましたよ。実際、和歌山県出身の関西人ですが（笑）。話し始めが、「ここにいる人は靴下履いてますか？ ああ良かった。石田純一のような人ばかりだと困りますから」とキャッチー。
一方で、今どきのITやパワポを駆使したプレゼン資料とは違い、大きな写真の下に一行だけの語句という資料で、これまでの人生を語りかけるように話し、かえって新鮮でしたし、にわかには居眠りしたくなるようなトーンでも、全く眠くならずに話に聞き入りました。
以下、例によって講義の時にメモった語句の備忘録代わりです。
＊編集が面倒なので、ほとんど殴り書きで長文注意！
・学生時代は、雀荘、友達との語らい、勉強というバランスのとれた大学生活。
・アルバイトは伊勢丹百貨店の寝具売り場と帝国ホテル。当時の総理大臣や幹事長の田中角栄にも会えた。
・ずっと大学生をやっていたく、4年になると就職活動と聞いて憂鬱だった。
・同級生の希望就職先が岩谷産業、伊勢丹百貨店と関連性が無いので理由を聞いてみた。
「倒産しない会社選んだ。だってビルの高さが高いもん」それで良いの？と疑問に思った。
・当時は「鉄は国家、国は潰れても八幡製鉄は残る」と言われていた時代。
・お兄さん達も明治で、和歌山の田舎の高校時代は、明治が一番良い大学だと思っていた。
・実家は和歌山の八百屋。お兄さん達も商社系のビジネスをしていたが、商品を右から左に流して差額を取るビジネスを、人間として「それってどうなの？」と思った。
・就職に関しては半年間悩み、実家の八百屋を継ごうかと、親父にも打診した。「ダメ、辞めといたほうが良い。朝は早いし夜は遅い。冬は手が悴むし、夏はキャベツ臭くなる」。
・諦めがついたので、大学の就職課で大阪にある繊維の会社を紹介して貰う。ニチイとイズミヤ。
・山内ダイエーの流通革命で、繊維産業は膨大、その中でも小売業に魅力を感じた。
・イズミヤに面接に行く前にニチイに決まる。当時は上場もしてなかったし7店舗だけ。
・大卒3期生だったが、1期と2期を合わせて3人しかいなかった。
・任されたのが靴下の部門。松下幸之助そ目指して、追い越そうと思っていたのに。。。
・「一年間頑張ろう」と思ったが、「慌てなくて良いから」と、毎日、売り場の靴下の整理を半年間。しかも紳士用の靴下。
・「俺の就職は失敗かなぁ」と泣きそうになる。話し相手は靴下。硬い、柔らかい、売れ残ってるのが分かる。
・靴下の整理でNo.1になろうか。。。
・「こんなモチベーションの高いやつに、なぜ靴下整理？」と、創業社長夫人で当時の人事部長に最近聞いてみた。
・「あなたに"忍耐"という言葉を教えたかった」
・その会社にいた5年半が、その後の人生の土台。特に最初の半年の靴下整理。靴下の本質を理解できた。
・創業社長には大変お世話になったが、5年半後に独立を目指して退職。
・気迫だけで具体的なプランはなかった。
・失敗するかもしれないが、何かをしたい。
・夫人に「付いてきてくれるか？」と聞くと「付いていきます」。その言葉に押された。
・でも、靴下だけはやらないと思った。靴下ビジネスの怖さを知っているから。
・でも、靴下以外の知識、人脈がない。何もできないまま悶々としていた
・家に遊びに来た友人には、「靴下やったら日本一になるかも？」と言われた。
・とりあえず、靴下のブローカーみたいな仕事を始める。
・別の友人に、「お前は今、何をしてるの？」と屈辱的な言葉。
・都会で女性用の靴下を扱ってるところを紹介されるが断る。でも「俺の顔を立てて、行くだけ行ってみよう」と訪れる。
・月商でやっと50万円の靴下ブローカービジネスが、300万の靴下ビジネスになっていることを知り、将来の形が出来る。
・ニチイでも女性用の靴下には興味があり担当者に提案したが、保守的で話に乗らない。
・創業当時は、良い素材や良いデザインに拘り1足700円。高いが故にあまり売れなかった。
・でも、ちょこちょこっと買ってくれる人がいて感謝された。「やっていこう！」と決意した。
・やりたいことは、事業の成功と人に喜んで貰うこと。
・17歳の女の子が欲しがる製品。集中して意見を聞く。
・ラブリースィートな商品に特化し、原宿や心斎橋の店から仕事の依頼が来るようになる。
・チュチュアンナの"チュチュ"はバレーのコスチューム。"アンナ"は女の子。
３つの試練
・2度の火事
・従業員との関係
・家族との関係
2度の火事
・民家兼店舗が隣からの延焼で、全ての商品を消失
・2度目も全商品を消失し、従業員も結構いたので「もうダメかなぁ」と弱気になる。
・取引先や工場からの励ましで、どうにか立ち直る。
退職者が続出
・1980年代前半。
・5億円の売り上げの時に自身でブレーキをかけていた。靴下ビジネスをこれ以上大きくすると潰れると思っていた。
・3年選手が毎年退職して行くと、経営者、創業者としての人生を否定されているように感じる。
・会社を大きくすると倒産するリスクが大きくなる。前に進めない。
・稲盛和夫、松下幸之助、船井幸雄の経営やビジネスを徹底的に 勉強する。
・「夢が無いから退職するんだ」と気付く。
・"経営"をして行くことを決断する。
家庭崩壊の危機
・夜の11時を「まだ11時だ」と思っていた。休日も仕事漬けで家庭を放ったらかし。
・母親が明治の女性で「女は家庭を守る、男は仕事」と言う考え。それが正しいと思っていた。
・「仕事をしてさていれば、家庭もうまく行くんだ」と思っていたが、夫人はそうは思っていなかった。
・妻と向き合い、家族と向き合う期間が5年間くらい続いた。
・考え方を変えた。家庭を優先する。本気でそう思った。1993年頃からは7時に家族とディナーを一緒すること決めた。
・従業員達と居酒屋で話をる時間がなくなった。
・その代わり、経営理念の26か条を紙に書いて貼っておいた。
・従業員が一丸になってやるようになった。
・1994年、SPA小売業をやろう。大阪に直営1号「ジャスコ高槻店」をオープン
・靴下は誤魔化しの商売。アクリル70%、綿30%と糸の卸が言っても信用できない。糸の工場を創る。
・2001年、下着の事業に進む。1号店を佐世保にオープン。
・次女はビジネスが好きだったので、下着に関する世界の調査を託す。
・行けると思う。難しい靴下の商売をやってきたのだから、下着も出来る。
・2009年、中国の高級百貨店（上海）に直営1号をオープン。
・「一般的に、チュチュアンナの商品をどう思う？」とアンケートをする。
・「なんとなく良いね！」 答えられると嬉しい。
・なんとなく＝わからない事をして利益を得てる。
・靴下はわからない商売。100円と1,800円の違いは何？
・風合いとコシ。相反する２つを両立。
・持って靴下が立つのがコシ。赤ちゃんの肌に水を掛けると跳ねる＝ハリがあるのと同じ。
・一番大きい戦力になったのはカラータイツ。
・原宿、心斎橋で市場調査。
・ミニスカートとファッショナブルな靴の中で、カラータイツ履いたらかっこいいよねぇ。
・靴下メーカーにサンプル依頼。ダメダメが続いていたが、ある日、良いのがきた。
・でも高い。「直感的に8億円売れるだろうから、3億円分発注する」と打診。
・3日後に「無理です」と回答して来たが、更に3日後に「やはりやります！」。
・カラータイツのブームになり、70%くらいのシェアだった。
これから、どんな会社にしたいか？
・世界に役立つ会社。
・新社屋のテーマは「コミュニケーション」。
・自分には分からないが、若い人達が得意なハイテクやITで革新的進歩をする。
・今後注力するのは教育。教育の基本は明治大学！
・国際NGOワールド ビジョン ジャパンを通して、ベトナム、バングラデシュ、マラウイ、ネパール、ヒィリビンなどに幼稚園や小学校を全8軒建設。
就活生には、会社研究よりも自己研究して欲しい。自分は何をしたいのか。
質疑応答
毎日していることは何か？
・毎朝6時に、夫婦で、思いや願いを黙想し話し合う。
・夫婦の関係がうまく行ってなくて、従業員との関係は出来ないと思う。
従業員のことを心から愛おしく大切に思う。その26か条とは？
（全部言ってると時間がないので、主なポイントは）
・誰のために会社を経営しているのか。
・何を大切にしているのか。
・従業員が、経済的に精神的に幸せになる。
・創造、努力、和。
・人のために役立つ。社会、文化、経済に貢献する。
・試練はゴウを作る。
・ええかっこしてはならない。
・売上、利益を最大に。経費を最小に。
Comments
No comments yet
