June 24, 2022
北海道新幹線 後志トンネル工事見学
今回のクラブツーリズムの”大人の社会科見学”の2箇所目は、北海道新幹線の後志トンネル天神工区の工事見学でした。JR札幌駅からバスで札樽自動車道に入り、小樽ICで降りて道道697号を15分程度走り、延べ1時間程度の距離でした。到着するなり長靴に履き替えて工事用の反射ベストを着てヘルメットを被り、上段に「北海道新幹線トンネル工事見学（大人の社会科見学ツアー）」、中段に「北海道新幹線、後志トンネル（天神）工区」、下段に「2022.6.20 主催：クラブツーリズム 発注者：鉄道・運輸機構 北海道新幹線建設局 施工者：安藤ハザマ・伊藤・堀口・泰進JV」と書かれた垂れ幕の下で集合記念写真。
この垂れ幕の最後に記してある”JV”はヘルメットや反射ベスト、そして配布された資料の右上にもロゴとして表示されていて、「Joint Ventureの略かな？」と思うも「異国企業も加わっていたりして」とも思ったので尋いてみると、”Joint Venture”の略でビンゴで、此処の工事の場合は”特定建設工事共同企業体”のことだそうです。
なお我々を迎えるにあたっては、発注者と施工者の関係者が多くスタンバイしてくれていましたが、函館新幹線総合車両所の見学のとき同様に、ツアーの参加者よりも関係者の方が多いくらいでした。札幌駅からバスで向かっている時には、添乗員さんが「クラブツーリストとして初めて行くので、どんな感じなのか全く分からないのです。もしかしたら対応が”ぶっきらぼう”かも知れないので、その際にはご了承ください」と懸念していましたが、全くの杞憂でしたよ。
垂れ幕での記念写真撮影の後は、トンネルの入口に待機していたマイクロバスに乗り、既に開いている穴約1キロの半分くらの場所でパイプ椅子に座り、プロジェクタで工事の説明がありました。
北海道新幹線の新函館北斗から札幌間の約212kmのうち8割がトンネルで、後志トンネルは17,990m（約18キロ）に及ぶそうです。トンネル工事は地山の状況に応じて1〜2.5m程度ずつ掘削するという地道な作業の繰り返しで、1年に1キロ程度しか進まないのだとか。
その後はトンネルの一番先端まで行き、横から湧き出している水の音を聴きながら、2.5億円くらいする全自動掘削機（ドリルジャンボ）やズリを積み込みを行うホイールローダーの説明とデモなどが行われました。
質疑応答の時に作業者の人数の話がありましたが、この工事現場では1チーム8人が4チームあり、32人程度とのことでした。これで365日24時間工事が進められていますが、思ったよりも人数が少ないのは、 ICT・IOT技術による自動化が進んでいるからだそうです。
そして最後に「ようこそ、後志トンネル天神工区へ♪」と書かれた垂れ幕の下にマジックペンでメッセージを書くセレモニーがありました。このメッセージ、トンネルが完成して新幹線が開業しても残っているそうで、新小樽駅に停車する新幹線の場合、この辺りでは結構ゆっくりな速度になるので、文字が読めるくらいの速度で見られるとのことです。なので完成した暁には、新小樽駅に停まる新幹線に俄然乗りたくなりますたよ。まだ8年ありますけどね。
以下、備忘録も兼ね、配布された資料に記載があった詳細説明の抜粋です（長文注意）。
工事概妻
北海道新幹線は、新函館北斗駅〜札幌駅間（全長212km)の路線を延伸する工事。北海道新幹線が札幌駅までつながることにより、札幌から東京までの所要時間は5時間程度（設計最高速度260km/時間の場合）となり、札幌と東京がより近くなる。
また、新函館北斗駅〜札幌駅間は、トンネル区間の延長が8割を占めており、雪や悪天候にも強い路線となる。本工事は、全長約18kmの後志トンネルの内、小樽市内に位置する新小樽駅付近（札幌側坑口）を起点として、新函館方面に4,460mのトンネルを施工するもの。土被り（トンネルから地上までの地盤の厚さ）は最大500m程度で、発破を用いたNATM (ナトム：New Austrian Tunneling Method) によりトンネルを施工する。
工事名称：北海道新幹線、後志トンネル（天神）他工事
発注者：独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
施工者：安藤ハザマ・伊藤・堀ロ・泰進北海道新幹線、後志トンネル（天神）他特定建設工事共同企業体
施工場所：北海道小樽市天神2丁目地内
工期：令和元年11月1日〜令和7年6月30日（68カ月）
工事価格：11,551,452,000円（約116億円、税込。2022年6月時点）
主な工事内容
トンネル掘削（NATM）：掘削延長4,460m、掘削断面積70.13〜78.59m2
覆工コンクリート工：覆工延長4,460m
インバートコンクリート工：インバート延長4,460m
路盤工：路盤鉄筋コンクリート工延長4,460m、突起コンクリート工1,786箇所
線路土工：切盛土工V=3 400m3、ジオテキスタイルS=8,093m2
法面工：コンクリート吹付A=3,007m2、吹付法枠A=4,072m2
土留工：法面整形A=220m2、コンクリート吹付221m2
その他：仮設備工（防音対策設備含む）
工事に伴う取組
取組� Ш膿卦蚕僂砲茲觝播�な施工を実現
全自動で動くドリルジャンボや大容量吹付け工法等の最新技術の導入により、省力化・急速化の施工を実現し、2030年度末の北海道新幹線全線開業の実現に向け工事を進めます。
取組�◆�地域住民や生活環境に配慮した施工を実現
仮設ヤード、坑口部などに防音・防振設備を設置し、作業や発破による騒音・振動を低減します。
取組��： ICT・IOT技術を活用した確実な安全管理
工事用車両運行管理支援システム(VasMap)やトンネル坑内ビューなどのICT・IOT技術の導入により安全な施工に努めます。
トンネルの施工方法
�〇崖戰肇鵐優觜�法
�▲掘璽襯氷�法
シールドとよばれる鋼製円筒で軟弱な地盤を支持しながら地中を掘り進む。同時にセグメントとよばれる壁を組み立てる。円形トンネルとなる。
�３�削工法
地表面から掘り下がり、所定の位置にトンネルを構築して、その上部を埋め戻し地表面を復旧する工法である。
�つ斥�工法
�タ篆聞�法
管や函体を地山中にジャッキなどで押し込んだり、けん引してトンネルを構築する工法で、比較的に小断面や短距離の場合に採用されることが多い
後志トンネルの施工方法
山岳トンネル工法
掘削から支保工の構築完了までの間、切羽付近の地山が自立することを前提として発破、機械または人力により掘削し、支保工を構築することにより内部空間を保ちながら、トンネルを建築する工法。代表的工法：NATM（New Austrian Tunneling Method）、在来工法（矢板工法）
掘削の掘削の施工サイクル（NATM）
�〃〆錙僻�破 or 機械）
発破掘削：ダイナマイト等の火薬を使って掘削する。硬い岩盤のトンネルでは最も一般的な方法。
機械掘削：
発破せずに機械を使って掘削する。軟質な地山のトンネルなどに用いられる。
�∨拑錺坤蝓陛攤宗砲寮儿�・搬出
切羽（掘削の先端面）より掘削したズリをダンプトラック等に大型の機械により積込んで坑外へ速やかに搬出する。
��コンクリートの一次吹付け
肌落ち（小さい岩石等の落下）や抜け落ちを抑制するために、ズリ搬出後は速やかに一次吹付けを実施して、地山の安定を図る。
�す歙住拱盜�の設置
鋼製支保工（トンネル形状に加工したH形鋼）を所定の位置へ組立・設置する。地山の状況に応じてH形鋼のサイズや有無を決定。
�ゥ灰鵐�リートの二次吹付け
鋼製支保工の設置後、速やかに二次吹付けコンクリートを施工する。コンクリートには、強度発現を促進する急結剤を混入する。
�Ε蹈奪�ボルトの打設
長さ2〜6mの鋼棒をトンネル断面に対し放射状にモルタルの注入後、設置・固定する。長さ、本数は地山の状況により決定。
Comments
No comments yet
