October 30, 2018

新疆ウイグル自治区

昨日の会社帰りに観賞した東京国際映画祭2018正式出品作品『はじめての別れ』は中国の作品で、原題は『第一次的离別』(英題も直訳の『A First Farewell』)でした。

"中国の作品"といえども新疆ウイグル自治区を舞台にした作品で、現地の素晴らしい自然と景色がとてもよく表現された画像に癒されつつも、中国における新疆ウイグル自治区の複雑な位置付けと、高齢化問題、介護問題、教育問題などを取り扱っている比較的シリアスで感慨深い内容でした。

新疆ウイグル自治区は中国といってもモンゴルよりも西にあり、北京や上海を初めとした中国の大都市や、日本人が名前をよく聞く内陸部の大都市である重慶や成都よりもカザフスタンキルギスの方が距離的にも圧倒的に近く、ウイグル族の容姿も中国系というよりはヨーロッパ系です。

ウイグル語の文字もアラビア語のような文字で漢字の中国語とは全く違いますが、中国の一地域なので(当然のように?)小学校でも中国語の授業があるようで、映画の中でも中国語の授業の様子と、中国語の成績が悪い生徒と親が先生に叱られているシーン、国のスローガンを全校生徒が中国語で唱和している場面などが出てきましたが、長い時間をかけて漢字を習ってきた日本人でさえ中国語習得は容易じゃないのに、ウイグル語の人たちが中国語をマスターするには相当に大変だと思います。

中国が台湾のことに触れる時に「一国二制度」と言っていますが、貨幣や交通ルールまで違う特別行政区の香港マカオ、そして距離的にも文化的にも大きく異なるチベットと新疆ウイグル、多重社会で最早「一国多制度」ですが、色々な面で無理があるように思えます。

漢族だけでも広大な面積と人口を誇る中国なのに、なんで新疆ウイグル自治区やチベット自治区まで自国として必要なのか、なんで南シナ海の人口島建設問題や尖閣諸島問題など更に領海も広げようとしているのか、私には俄には理解し難いのですが、あちこちに歪みがありそうです。

ちなみに、映画の中では複数の"はじめての別れ"がありました。
・大学に進学する兄との別れ
・病気で要介護の母が施設に入る時の別れ
・中国語の成績が悪い女の子が、中国語を強化するために他の学校へ転校する時の別れ
・大事に飼っていた子山羊がいなくなってしまう別れ
ネタバレ、ごめんなさい(笑)。

ところで、主人公の少年もヨーロッパ系の容姿でアイルトン・セナが子供になった感じでしたが、私の実家の近くに住んでいて、私が幼少の頃には我家と同居もしていて私が野球を教わったタテ叔父さん(9人兄弟姉妹の一番下)にも似ていました。幼少の頃から「タテ叔父さんは外人顔だよなぁ」と思っていましたが、今回の映画でもあらためてそう感じたと共に、母方の曾祖母ちゃんのことも思い出しました。

主人公のお父さん(見た目、相当歳が離れている親子)が病気の奥さんを施設に入れることを考えた時に、自分と奥さんの兄妹姉妹を集めて協議するシーンがあり、「容姿的には日本人なら80歳以上かな」と思えるお婆さんが数人登場していたのですが、その人たちの容姿が母方の曾祖母ちゃんに似ていたのです。90歳以上生きた曾祖母ちゃんで「バンバ」と呼んでいましたが、当時は「オランダ人のお婆ちゃんみたい」と子供ながらに思っていた記憶もあります。父方も母方も皆新潟生まれですが(私も)、大昔まで遡ると、少なからずロシア方面から流れてきている血が混じっているのかな(笑)。

追伸:
『第一次的离別』の王麗娜(ワン・リナ)監督が上映後のQ&Aで登壇しましたが、小柄で綺麗な若い女性でした。でも一見して「誰かに似てるなぁ?」と思っていましたが、私が台湾の企業に属して中国の広州で日本との合弁会社で仕事をしていた時に、日本企業側から派遣された社長の通訳兼秘書さんでした。英語名Elida、日本語のニックネームが鶴子さんでしたが、Facebook友達として今でも繋がっていて、結婚してフランスに住んでますよ。


23:14:00 | tom | | TrackBacks