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December 04, 2016

孫文と梅屋庄吉～日本人と辛亥革命の秘された関係～

最近は母校の公開講座に時々出掛けていますが、土曜日の日昼開催で有料ではあったものの”孫文”に惹かれたので受講して来ました。今年は孫文生誕150年だそうで、各地で生誕150年記念事業が開催されているそうですが、台湾が政権交代で国民党から民進党になり、「両岸関係を結ぶ歴史的に重要な人物」として盛大に行うことにも繋がったそうです。

孫文は中華民国では「国父（国家の父）」と呼ばれる偉大な人で、広州在住時代に中山記念堂に銅像があるのは知っていましたが、実際に何を成した人なのか詳しくは知らず、また、梅屋庄吉に関しては初めて耳にする名前でした。

しかし、日中戦争で日本と中国の関係が悪くなる以前に、中国、台湾、日本を跨いで、こんなに良い友情話、日本人と中国人が助け合った歴史があったとは、全く知りませんでした。改めて、日本と中国は兄弟であり、もっと交流を深めるべきだと思いましたよ。特に政府間！

講師は、梅屋庄吉が母方の曽祖父でもあり、レストラン『日比谷松本楼』の副社長である小坂文乃さん。中学、高校時代をイギリスで過ごし立教大学卒の才女ですが、子孫としてのマル秘話も結構あり、90分が「あっ」という間に終わりました。いつものようにiPad ProにSmart Keyboardを装着して「盟約ニテ成セル梅屋庄吉と孫文」の講話をメモっていましたが、備忘録として以下に記します。乱文と超長文注意です（笑）。

孫文
・100年前に辛亥革命を起こした人物
・中国語では『孫中山』。孫文に敬意を評した”中山通り”が中国各地にあり親しまれている
・”中山”は日本人の名前から付けた
・革命生活の間、1/3は日本にいた
・非常に貧しい農家に生まれ、5歳まで靴を履いたことがないと言われている
・ハワイにいた兄が、頭が良い孫文を勉強させるためハワイに呼んで教育を受けさせる。オバマさんと同じ学校で勉学
・その時に、異国で全く違う国のあり方を見て、中国には革命が必要だと考える
・学んでいた医学では中国の人々を救えない、腐った政府を変えなくてはならないと思う
・全世界の華僑から資金を集める経済人としての顔と、医者、科学者としての顔がある
・JR九州の『或る列車』の原型に孫文が最初に乗っていた

梅屋庄吉
・長崎で貿易商を営む家に生まれ、比較的裕福な生活を送る
・当時の海外からの情報は、全て長崎を通して日本に広がった
・長崎は中国の方が身近。「東京に行くには水盃で、上海に行くには下駄ばきで」と言われるほど上海の方が近い
・子供の頃から困った人を放って置けない性格で、家のお金を拝借して近くの生活苦の人たちにバラ撒いていた
・身寄りの無い人達のためにお墓をあちらこちらに建てていた。香港、青山墓地、千葉でも見つかった
・14歳の時に親に黙って上海に行く。欧米から半植民地化されたような状況を見てショックを受ける
・高杉晋作の句、「実に上海の地はシナに属すると雖も、英仏の属地といふも又可なり」

・学校を卒業しても、家の仕事をしないでアジアを放浪していた
・当時は携帯電話もないので、両親はいつも「死んでるかも知れない」と懸念し、「男の子はこりごり」とも思っていた
・壱岐島の武家の娘『トク』を呼んで梅屋商店の幼女にする
・ふら～っと帰宅した庄吉が頻繁に出掛けないように、親がトクと結婚させる
・梅屋商店は「トクさんあっての梅屋商店」と言われるようになる

・孫文の革命をサポートしていた庄吉にも逮捕状が出たので、シンガポールに逃げる
・シンガポールで映画のビジネスを始め、マレー半島を映画巡業する
・このビジネスが成功し、シンガポールではラッフルズホテルの隣に家を構えていた
・秋田県出身の白瀬矗が行った南極探検を撮った映画が空前の大ヒット
・政府が資金を出さない時に庄吉11万5千円を出資した。朝日新聞5千円。当時三菱が軍艦島を勝った金額は10万円
・未知の南極に生き物がいた！ペンギン、アザラシを見たくて日本中の人が映画館に殺到した
・今では金曜日の夕刊は殆どが映画の広告だが、最初にやったのは庄吉
・映画女優とのCMコラボや、割引クーポン券を最初に考案して実現したのも庄吉
・映画界の風雲児と言われ成功し、吉沢商店、横田商店、福宝堂、Mパテー社の4社を統合し『日本活動冩眞株式會社（日活）』を創る

・資金援助をしていたのは孫文だけではない
・インド志士など、アジアでは独立運動が盛んだった
・「アジア人はアジア人同士協力して欧米諸国に負けないようにする」というのが庄吉の思想
・ラスビバリボース氏は新宿中村屋に匿まれていたので、新宿中村屋のカレーは今でも有名

二人の出会い
・庄吉は香港で写真館を開いていて、出張撮影などで結構繁盛し名の知れた日本人
・店によく来るお客であったイギリス人のジェームスカントリーとよく話していた
・ジェームスは孫文の医学校の先生だった
・二人の共通点は、10代の時に外から自国を見ていたこと
・ジェームスが庄吉と孫文を出会わせ、二人とも馬が合う
・革命をやりなさい、経済面で支えます「君は兵を挙げよ。我は財をもって支援す」と告げる
・革命に失敗し続けると支援していた華僑などがは離れるが、庄吉だけは最後まで支援していた

辛亥革命
・広州で初めて革命行動をするが、失敗して逮捕状が出て、逃亡生活を余儀なくされる
・日本、アメリカ、ヨーロッパと逃げ続けるが、費用は庄吉が工面する
・日清戦争で日本が勝った時に「地図にも載っていないような小さな国に倒された！」と中国（清）は驚嘆する
・日本が明治維新で近代化したことが大きいが、清は日本に大量に留学生を送って勉強させる
・その留学生達が孫文の革命の思いに共感し参加する。革命に向けての寄せ書きの屏風が日本にある
・当時、蒋介石も日本にいたが未だヒヨっ子で、屏風への寄せ書きも後から追加したので墨の色が違う
・革命当時、孫文は湖北省にはおらずアメリカにいたが「革命の成功をフィルムに収めて孫文に見せたい」と庄吉が思って撮影する
・辛亥革命の中心的な人物と言われている黄興の姿が生き生きと映し出されている

革命の支援とは
・庄吉のアジア諸国での人脈が、辛亥革命で武器を回すルートの助けになった
・孫文の革命を利用しようとした日本人が多かったが、それらは真の友達ではない
・八芳園の久原房之助は利用しようとして匿ったが、損得無しで支援した人は九州の人が多かった
・匿うのには資金が必要だが、玄洋社の総帥でもある頭山満も大いに貢献した
・高野太吉はお医者さんで、孫文からは医者として大いに尊敬されている

・庄吉は裏ルートからアジアの人脈を使って武器を送っていた
・”裏ルート”と言う所以は、孫文は日本の政府にも正式に支援を頼んでいたから
・政府は「国益にとってどちらが良いのか」などを考えて、結果として日清戦争で使い古した武器を送っていたが、庄吉は最新の武器を送っていた
・当時、北で力を強めていった袁世凱を倒さなくてはと考え、第2の革命を起こす為に飛行機を購入し滋賀県八日市市に飛行学校を作る
・自転車にも乗れないような人がパイロットとして結構来たので、バランス感覚を育てる意味も込めて、自転車 → 自動車 → 飛行機とスキルアップさせる
・中国の空を初めて飛んだ人はこの飛行隊からで、当時は降伏要求のビラやタバコ爆弾を上空から散布した

宋慶齢
・宗家の三姉妹の一人で孫文の妻。妹は蒋介石の妻である
・三姉妹ともアメリカの大学を出ている
・宋慶齢は当時東京に来ていて、ピアノが珍しい時代にピアノを弾くのを楽しみに、松本楼に来ていた
・そのピアノは、今でも松本楼のロビーに飾ってある
・孫文の英語の秘書になる
・父親が孫文を知っていて「彼は中国のリンカーンになれる人」と言っていた。娘の宋慶齢も孫文に憧れていたので恋仲に
・孫文は既婚者で妻は中国にいたので周りは総スカン。「革命が失敗しているのに恋仲とは、けしからん！」とも
・当時、命を狙われていた孫文に「大事な娘はやれん！」と父親も反対し、二人を引き離すために宋慶齢を中国に連れて帰る

・孫文は明らかに元気がなくなり、トクが「彼女が居なくなったから元気がないの？」と聞くと素直に認める
・孫文には「やめなさい！」と言うが「彼女と会えないなら死んでも良い」との返事。トクが一肌脱ぎ、家出同然で彼女を取り戻す
・彼女が船で日本に来る間に孫文は中国で離婚する。当時は中国では第二夫人、第三夫人を持つ男性がいたが、孫文は違っていて誠実
・孫文の妻は、祖国を壊そうとしている夫が理解できなかった。また、孫文が殆ど家にいなかったので、快く離婚に応じた
・晴れて東京で結婚する。小坂さん曰く「この結婚の方が歴史的に大きな役割だった！」
・中国の父と中国の母の結婚は、トクがお手伝いしていなかったら成し得なかったかも知れない
・結婚や恋の相談なんて、プライベートまで深く関わっていた特別な友達にしか話せない
・今でも、宗家とは家族ぐるみの付き合い

松本楼
・梅屋庄吉は松本楼のお客様だった
・松本楼の小坂梅吉と庄吉は良い友人関係。小坂さんの母にお見合いの話が来て、松本楼の小坂家に嫁に行かされた
・梅屋の家に隠れていた証拠、台湾で見つかった

二人の晩年
・孫文は肝臓ガンを患っていたが、中国と日本との関係が悪くなっているのを憂いでいた
・神戸に来て演説し「『西洋の覇道』に対して仁義道徳で感化させるのが『東洋の王道』」だと主張。日本の目指すべきは東洋の王道を基礎においた大アジア主義であると主張した。
・その演説には庄吉は病気で行けなかった
・庄吉は孫文の銅像を、娘の嫁入り資金も叩いて4体造る。文字が読めない人が多い当時の中国人にビジュアルで彼の偉業を示すため
・日本人が狙われ易い時代に、羽織袴で銅像を贈りに中国に行った
・文化大革命で日本が贈ったものが一番先に壊される中、4体とも今でも現存している
・孫文が広州に設立した陸軍の士官養成学校『黄埔軍官学校』で孫文は校長、周恩来が副校長
・首相だった周恩来が、国民党と共産党が一緒になった『国共合作』の証として、国家命令で守った

・日中関係が悪くなるのを危惧した庄吉は、過去に協力していた証明として『大孫文』という名の映画を作ろうとする
・日中戦争が始まり映画は実現できず。日本軍に睨まれ憲兵際に捕まるが、「戦争を何とか防がなければ！」と強く思い続ける
・「自分なら蒋介石と交渉が出来る」と、日中戦争には否定的だった広田外相を巻き込み外交に出ようとするが、会談への移動途中で倒れて亡くなる
・中国人学生に庄吉の話をすると「なんでそんな事をしたの？」と質問される。「お互いに助け合う事人の道なり」：富貴在心
・一方で、梅屋庄吉とトクは子孫には金銭的な財を残さない『積善家』を尊ぶ。しかし、人の繋がりで子孫に返ってくる

日中国交回復の後
・副国家主席にまでなった宋慶齢さんに、祖母夫婦が北京に招待される
・胡錦濤が10年ぶりに日本に来るが何を示したら、、、孫文と庄吉の友情の証を両国の首脳に見せる
・この時から、孫文と梅屋庄吉と関係がマスコミにも知られるようになる
・中国政府が、孫文と梅屋夫妻の3人像を松本楼に贈りたいと打診
・生誕150周年の記念事業は、北京、上海、南京、広州で実施された
・国家主席の習近平が45分間もスピーチをした
・台湾で両岸関係を推進していた人たちもたくさん出席していた
・神戸の孫文記念館、1,236人の日本人達が何らかの関わりを孫文と持っていた

最後に
・この二人の関係を一般の人、特に若い人たちに知ってほしい
・この二人の話は、日本の教科書にも載るようになった
・平和と人類平等の志は世代を超えて

23:04:00 | tom | | TrackBacks

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