February 23, 2017

人生初のバレエ観賞

私の芸術関係の師匠のお誘いを受け、人生初のバレエを観賞して来ました。野球少年で基本的には体育会系&理科系の私のバレエに対する予備知識なんて、幼少の頃、TVか何かで観た(漫画だったかドリフだったか、汗)『白鳥の湖』の印象くらいしかなかったのですが、な、なんと、一気に東京バレエ団の『ウィンター・ガラ』を観る機会に恵まれ、パリ・オペラ座バレエ団芸術監督になった今でも踊り続けているオレリー・デュポン(Aurélie Dupont)という超一流のダンサーのバレエを拝観しました。

会場は渋谷Bunkamuraのオーチャードホール。2階から見下ろすような席でしたが、全体が観えて良かったし、師匠に借りたオペラグラスでダンサーたちの表情もよく見えました。なお、事前に配布されたプログラムと順番が変わり(1.と2.が入れ替わり)当日は以下のような順序となりました。でも、この変更で、かえって印象深い人生初バレエ観賞になった気がします!

1. 中国の不思議な役人:(振付)モーリス・ベジャール:(音楽)ベラ・バルトーク
2. イン・ザ・ナイト:(振付)ジェームス・ロビンス:(音楽)フレデリック・ショパン
3. ボレロ:(振付)モーリス・ベジャール:(音楽)モーリス・ラヴェル

スタートの『中国の不思議な役人』は典型的なバレエの衣装ではなく、ミュージカルや演劇のようなコスチュームのダンサーたちが登場し、ストーリー仕立ての展開でした。台詞は全く無いので内容を理解するのは難しかったのですが、プログラムに書かれていた内容を転記すると以下のようになり、1926年に初演された同名のパントマイム劇は、当時は内容が煽情的すぎるという理由で、何度も上演が禁止されたそうです。

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無頼漢たちが娘を使って道行く男を誘惑させ、金品を巻き上げるが、その夜の三人目の犠牲者となるはずの中国の役人は、娘に異常な執着を見せる。悪党たちは役人を殺してけりをつけようとするものの、役人は殺されるたびに蘇り、最後には娘が彼に身をまかせ、その欲望を満足させることによってようやく息途絶える。
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最初のダンサー達は男性だけでしたが、後半から女性ダンサーもたくさん登場し、更にバレエとは思えないような黒い下着だけのようなコスチュームだったので、結構目の保養にもなったかもです(笑)。

そして次の『イン・ザ・ナイト』は、元々"バレエ"で想像していたようなコスチュームの男女のペアが3組登場し、音楽も最もポピュラーなショパンノクターン(夜想曲)4曲(op.27-1、op.55-1、op.55-2、op.9-2)で、思っていた通りの情緒豊かな感じでした。

そして15分間の休憩の後に始まった本日のトリである『ボレロ』は超感動モノでした! ラヴェルの『ボレロ』は、当時私も欲しくて、おそらく大学卒業後にホンダに入社したくなった要因の一つでもある2代目プレリュードのCM曲での思い入れが多々ありますが、改めて感じるのは、同じリズムの旋律が繰り返されるということ。

実際、音楽師匠のウンチクに依ると、この作品が発表された時に、どこかの劇場のトイレにいたラヴェルに、本人とは全く気付かず掃除のおばさんが、「この曲、どこが良いんだろうねぇ? 同じリズムの繰り返しで飽きちゃうよ!」というようなことを言ったそうですが、それを聞いたラヴェルは、「この音楽を一番分かっているのは彼女だ!」と言ったのだとか(笑)。

でも、その静かで単調なリズムの繰り返しが、このようなバレエで表現されると一気に印象が変わり、静かで単調な音楽に合わせて踊るオレリー・デュポンの、人間とは思えないような"しなやかで気品がある動き"が映えます。腕の動きなんて、残像効果もあり、本当に鳥の羽が舞っているように見えましたよ!

また、周りを囲む、上半身裸で下に黒のタイツの男性ダンサー達の「体脂肪率が限りなくゼロに近いのでは?」と思われるような肉体での踊りが、シンプルなゆえに楽曲にマッチしていました。更に、オレリー・デュポンが一人で踊る舞台が赤い円形で、その周りを男性ダンサー達が長方形のように囲んでいたので、2階席から見ると"日の丸"のように見え、またまたナイスでしたよ。

『ボレロ』とオレリー・デュポンのバレエの組み合わせって、「シンプルとシンプルの融合」というような感じがしました。う〜ん「百聞は一見にしかず」で、またまた人生の幅が広がった気がします! こうなると、次の"人生初"はオペラかな?(笑)


Posted by tom at 09:44 P | from category: イベント情報 | TrackBacks
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