December 26, 2016

交響曲第9番ニ短調作品125《合唱付》

年末になるとベートーヴェンの『第九』(だいく:『交響曲第9番ニ短調作品125』。ベートーヴェンが楽譜に記入した正確な表記では『シラー作の賛歌「歓喜に寄す」による終末合唱を持つ交響曲』)が日本各地で演奏されますが、昨年に続いて今年も生でオーケストラを聴く機会に恵まれ、今宵はサントリーホールで行われた『都響スペシャル 第九』を拝聴して来ました! 今回は指揮者から結構近い席で良く観えたのですが、マエストロ Jakub Hrůša(ヤクブ・フルシャ)の感情込もった身体全体で振るタクトが印象的でした! う〜ん、やはり生は素晴らしい!!

ところで、『第九』といえば合唱があるのが当たり前になっていると思いますが、作曲された当時は「前代未聞!」だったのだそうです。器楽曲の王者的地位に就きつつあった「交響曲」というジャンルに、人声を加えるのはスキャンダラスなことであり、当時の評論家達の多くが頭を抱えてしまったのだとか。。。でも、今となっては「合唱付では無い『第九』なんて、パクチーの無いタイ料理、ワサビが無い刺身、キムチの無い韓国焼肉、踊りの無いPPAP!」ですよね(笑)。

しかし、「なんで年末に『第九』?」と思って調べてみると、12月に『第九』の演奏会が集中するのは日本だけなのだそうです。USAでオーケストラが年末にプログラムに取り上げる曲といえば、「ハレルヤ」コーラスで有名なヘンデル作曲『メサイア(救世主)』が定番らしく、ヨーロッパでも無いに等しいけど例外的な事例として、ドイツのライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が第一次世界大戦の終結した大晦日(1918年)に、平和と自由への願いを込めて『第九』を演奏して以来、このオーケストラでは12月31日の演奏が伝統となっているとか。また、オーストリアではウィーン交響楽団が12月30日と31日に『第九』を演奏する習わしがあるようです。

で、日本のオーケストラが年末に『第九』を演奏するのは何故かというと、、、『第九』が大傑作で大きなスケールで「よろこび」を歌い上げるため、年末にふさわしいというのもありますが、直接的には、12月の『第九』のチケットがよく売れるため、オーケストラにとって臨時収入が期待できることが大きな理由なのだとか・・・(笑)。最近では各地に『第九』を歌うアマチュア合唱団が誕生し、「第九を歌う会」の催しが増えてきたのもこの傾向に拍車をかけたそうです(以上、日本気象協会のこの記事を参照させて頂ききました)。

元来、日本は舶来のグッズやイベントを独自にアレンジするのが得意な気がしますが(その典型的な例がバレンタインデー)、この『第九』も勝る劣らずで、もはや日本の年末の定番イベントですね!


23:09:00 | tom | | TrackBacks