July 19, 2021
F1イギリスGPで51Gの衝撃
英国のシルバーストーン・サーキットで開催されたF1イギリスGPは、メルセデスのルイス・ハミルトンがレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンの5連勝を阻み、イギリスGP3連勝で自身同GP8勝目、そして今シーズン4勝目を成し遂げましたが、1周目にこの2人による大きな事故がありました。今回から適用された新しいレースフォーマットでポールポジションに立ったフェルスタッペンと、金曜日の予選では1位だったけど新たに設けられたスプリント予選の結果、決勝レースではポールポジションになれなかったハミルトンの2人が、スタート直後からサイド・バイ・サイドで激しく鬩ぎ合い目が離せな状況になっていました。
そしてコプス・コーナーでフェルスタッペンの右後輪にハミルトンの左前輪が接触し、コントロールを失ったフェルスタッペンは高速でコースオフし、減速することなくタイヤバリアに激しく叩きつけられました。事故後マーシャルに支えられながらマシンから降りてなんとか歩けたフェルスタッペンですが、マシンが51Gもの衝撃を受けたので念のため病院に搬送されました。
このクラッシュで10秒のタイムペナルティを受けたハミルトンですが、途中のタイヤ交換の際にペナルティも消化し、先頭を走っていたフェラーリのシャルル・ルクレールがタイヤ交換を終えた後には13秒以上あったタイム差を徐々に詰め、残り2周のところで遂にオーバーテイクし、チェッカーフラッグを受けイギリスGPを制しました。
新しいフォーマットの影響で本来立っていたであろうポールポジションに立てなかったことや、「自分は悪くない」と思っているクラッシュでペナルティを追わされての逆転劇、更に母国開催のGPだったのでメチャクチャ嬉しかったのは間違いないものの、いつものレース以上に優勝を喜んでいたハミルトンに対し、フェルスタッペンがネガティブな反応を示していました。
フェルスタッペンはレース後に自身の状況をSNSに投稿し、その中でハミルトンが勝利しそれを喜んだ”振る舞い”について以下のように批判していました。
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まず第一に、僕は大丈夫だ。良かったよ。51Gというとても大きな衝撃を受けたが、気分は良くなった。こういう形でリタイアしたことには、とても残念に思っている。ルイスに出されたペナルティは僕らは助けることはないし、彼がコース上で行なった危険な動きを正当化するモノではない。病院で、あのようなレース後の喜び方を見るのは無礼だと感じたし、スポーツマンシップに反する行動だと思う。でも、僕らは前に進む。
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ルクレールを抜いてトップに立つときも同じコーナーで同じような抜き方をしましたが、フェルスタッペンとの1周目のアクシデントが頭をよぎったのか、ハミルトンもちょっとだけ引いたような気がするし、フェルスタッペンがタイヤバリアに突っ込む時の衝撃画像を見たのか、ルクレールも内側へ切り返すのをちょっと緩め、その分コースから外にちょっとハミ出してハミルトンが「あっ」という間に抜いて行きました。
しかし51Gという想像もつかないような衝撃でタイヤバリアに突っ込んでも無傷だったのは、今のF1の安全対策の賜物でしょうね。クレーンで撤去される時の画像を見ていると、コックピット以外は原型が残っていないレベルにマシンは壊れていたので、一歩間違っていたら、今シーズンのポイントランキング・トップでワールドチャンピオンに最も近い未だ23歳の若き天才ドライバーが、34歳で亡くなった音速の貴公子アイルトン・セナや、私が好きだったけど32歳で亡くなってしまったフェラーリのジル・ヴィルヌーヴのようになっていた可能性が拭えません。
レッドブルF1のマルコ博士はハミルトンの”危険な行為”に激怒し「出場停止などで罰するべき」と主張しているそうです。「サーキットの中でも最も速いコーナーで、彼のフロントホイールが我々のリヤホイールに激しく接触した場合、それは単なるレース中のアクシデントではない」とも語っているとのこと。
今後もフェルスタッペンとハミルトンのサイド・バイ・サイドでの戦いは続くと思われますが、今回のような事故だけは起こらないよう、切に願っています。なお、『Black Lives Matter活動』を積極的に提唱推進しているハミルトンに私は敬意を評してますし、F1がイニシアチブとして掲げている『We Race As One』も素晴らしいと思っています。
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